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バーチャルオフィス利用時の届出手続き|開業届の書き方・提出先を解説

基礎知識

バーチャルオフィスの住所を使って開業届を出すことは、法的にまったく問題ない。ただし、「納税地」欄にバーチャルオフィスの住所を書くのか、自宅住所を書くのかによって提出先の税務署や経費計上の範囲が変わる。ここでは開業届の具体的な記入方法から、都道府県への事業開始届出書まで、必要な届出を漏れなく解説する。

開業届の基本情報

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」。事業を開始した日から1ヶ月以内に、納税地を管轄する税務署へ提出する。用紙は税務署の窓口で入手するか、国税庁のWebサイトからPDFをダウンロードできる。e-Taxを使えばオンライン提出も可能だ。

提出費用は無料

開業届の提出に手数料はかからない。窓口・郵送・e-Taxいずれの方法でも無料で手続きできる。

納税地の選び方:自宅 vs バーチャルオフィス

開業届には「納税地」と「納税地以外の住所地・事業所等」の2つの住所欄がある。バーチャルオフィスを利用する場合、2つのパターンから選択できる。

パターンA:自宅を納税地にする(推奨)

記入欄 記入内容
納税地 「住所地」にチェック → 自宅住所を記入
納税地以外の住所地・事業所等 「事業所等」にチェック → バーチャルオフィスの住所を記入

自宅を納税地にするメリットは、自宅の家賃・光熱費・インターネット回線費を事業用経費として按分計上できる点。自宅で実際に作業をしている個人事業主にはこちらが有利なケースが多い。提出先は自宅住所を管轄する税務署になる。

パターンB:バーチャルオフィスを納税地にする

記入欄 記入内容
納税地 「事業所等」にチェック → バーチャルオフィスの住所を記入
納税地以外の住所地・事業所等 「住所地」にチェック → 自宅住所を記入

自宅住所を税務関連書類に一切載せたくない場合はこちらを選ぶ。ただし、納税地をバーチャルオフィスにすると、税務署からの郵便物がバーチャルオフィス宛に届く。郵便転送サービスが含まれるプランを選んでおかないと、重要な通知を見逃すリスクがある。

納税地は後から変更できる

「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出すれば、納税地を自宅からバーチャルオフィスへ(またはその逆へ)変更可能。最初の選択を間違えても修正は難しくない。

提出先税務署の決め方

開業届の提出先は、納税地を管轄する税務署になる。管轄税務署は国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」ページで郵便番号から検索できる。

  • 自宅(横浜市中区)を納税地にした場合 → 横浜中税務署
  • バーチャルオフィス(東京都渋谷区)を納税地にした場合 → 渋谷税務署

提出方法は3つ。窓口に直接持参するか、郵送で送付するか、e-Tax(電子申告)で提出する。郵送の場合は、控え用の届出書と返信用封筒(切手貼付)を同封すると、受付印を押した控えを返送してもらえる。

開業届以外に必要な届出

青色申告承認申請書

開業届と同時に提出しておきたいのが「所得税の青色申告承認申請書」。青色申告を選択すると、最大65万円の特別控除が受けられる。提出期限は開業日から2ヶ月以内(1月1日〜1月15日に開業した場合は3月15日まで)。開業届と一緒に出すのが最も効率的だ。

事業開始届出書(都道府県税事務所)

税務署への開業届とは別に、都道府県税事務所にも「事業開始届出書」(名称は自治体により異なる)を提出する必要がある。東京都の場合は事業開始日から15日以内、神奈川県は1ヶ月以内など、提出期限は自治体ごとに異なる。

この届出書にもバーチャルオフィスの住所を記載できる。提出先は事業所の所在地を管轄する都道府県税事務所になるため、バーチャルオフィスの住所がある地域の税事務所に提出する。

その他の届出(該当する場合のみ)

  • 給与支払事務所等の開設届出書:従業員を雇用する場合、開設から1ヶ月以内に提出
  • 源泉所得税の納期の特例承認申請書:従業員10人未満の場合、源泉徴収税を年2回にまとめて納付できる
  • 消費税課税事業者届出書:売上が1,000万円を超える見込みの場合

法人設立の場合の届出

法人として設立する場合は開業届ではなく、以下の届出が必要になる。

  1. 法人設立届出書:設立日から2ヶ月以内に本店所在地の管轄税務署へ提出
  2. 青色申告の承認申請書:設立日から3ヶ月以内、または最初の事業年度終了日のいずれか早い方
  3. 法人設立届出書(都道府県・市区町村):各自治体の定める期限内に提出

法人の場合、本店所在地としてバーチャルオフィスの住所を登記簿に記載する。この住所が管轄税務署を決定する基準になるため、契約前にどの税務署が管轄になるか確認しておくとスムーズだ。

届出手続きのチェックリスト

届出書 提出先 期限
開業届 納税地の管轄税務署 開業から1ヶ月以内
青色申告承認申請書 納税地の管轄税務署 開業から2ヶ月以内
事業開始届出書 都道府県税事務所 15日〜1ヶ月(自治体による)