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バーチャルオフィスとは?仕組みを解説

基礎知識

バーチャルオフィスとは、物理的なオフィスを借りずに「事業用の住所」だけを利用できるサービスだ。実際の作業スペースは提供されないが、法人登記・郵便物の受取転送・電話番号の取得などビジネスに必要な機能を月額660円〜5,000円程度で利用できる。フリーランスや副業ワーカー、スタートアップにとって、自宅住所を公開せずに事業を始める手段として急速に普及している。

バーチャルオフィスの基本的な仕組み

バーチャルオフィスの運営会社は、都心の一等地にオフィスビルのフロアを確保している。利用者は、そのビルの住所を自分の事業所住所として使える契約を結ぶ。あくまで「住所の利用権」を購入する形であり、その場所に自分のデスクがあるわけではない。

具体的には、運営会社が以下の業務を代行する形で成り立っている。

  • 届いた郵便物・宅配物を受け取り、利用者に転送または保管
  • 契約住所での法人登記の受け入れ
  • 固定電話番号の貸し出し・電話転送
  • 来客対応(一部サービスのみ)

つまり、自宅やカフェで仕事をしながら、名刺やWebサイトには銀座・渋谷・新宿といったビジネス街の住所を記載できる仕組みだ。

提供される主なサービス内容

住所利用・法人登記

最も基本的なサービスが住所の利用だ。名刺・Webサイト・契約書などにバーチャルオフィスの住所を記載でき、多くのサービスでは法人登記にも対応している。個人事業主の場合は、開業届に事業所住所として記載することも可能だ。

郵便物の受取・転送

契約住所宛に届いた郵便物を運営会社が受け取り、利用者に転送してくれる。転送頻度はサービスによって異なり、週1回が標準的。即日転送や来店受取に対応するところもある。転送費用は月額料金に含まれるケースと、別途実費がかかるケースがある。

電話番号・電話代行

03や06から始まる市外局番付きの固定電話番号を取得できるオプションがある。かかってきた電話を携帯に転送するサービスや、オペレーターが社名で応答する電話代行サービスを提供する事業者もある。電話代行は月額3,000〜5,000円程度の追加料金が相場だ。

会議室の利用

多くのバーチャルオフィスでは、時間単位で会議室を借りられる。来客対応や面談時に「住所と同じビルで会議ができる」のは信頼性の面で大きい。料金は1時間あたり500〜2,000円程度が一般的だ。

料金の相場

プラン 月額の目安 含まれるサービス
住所利用のみ 300〜1,000円 住所利用、法人登記は別途
基本プラン 1,000〜3,000円 住所利用+法人登記+郵便転送
フルサービス 5,000〜10,000円 上記+電話転送+電話代行+会議室

GMOオフィスサポートの月額660円(税込)、DMMバーチャルオフィスの月額660円(税込)など、大手が参入したことで格安帯の競争が激しい。ただし、月額料金だけでなく初期費用・郵便転送費の実費も含めた年間トータルコストで比較することが重要だ。

利用開始までの流れ

  1. サービスを選ぶ — 住所の立地・料金・オプション内容を比較して決定
  2. 申し込み・本人確認 — Webフォームから申し込み、運転免許証やマイナンバーカードなどで本人確認を行う。犯罪収益移転防止法に基づき、利用目的の確認も必須
  3. 審査 — 事業内容の確認を含む審査が行われる。通常1〜3営業日で完了
  4. 契約・利用開始 — 審査通過後、料金を支払い利用開始。即日〜翌営業日から住所を使えるサービスが多い

どんな人に向いているか

  • フリーランス・個人事業主 — 自宅住所を公開したくない場合に最適
  • 副業ワーカー — 会社にバレたくない、かつ事業用住所が欲しい場合
  • スタートアップ — オフィス賃料を抑えて初期費用を削減したい場合
  • 地方在住で東京の住所が欲しい人 — 信用力や営業面で都心住所にメリットがある場合
  • ネットショップ運営者 — 特定商取引法に基づく表記に自宅を載せたくない場合

注意点

バーチャルオフィスの住所は他の利用者と共有される。そのため、同じ住所に複数の事業者が登記されている状態になる。これ自体は違法ではないが、取引先や金融機関から「住所を検索されたときにバーチャルオフィスだと分かる」可能性はある。信頼性を重視するなら、自社ビルを持つ運営会社のサービスを選ぶとよい。

バーチャルオフィスでできないこと

万能に見えるバーチャルオフィスにも制約がある。

  • 実際のオフィスとして使えない — デスクワークや来客の常時対応は不可
  • 許認可が取れない業種がある — 人材派遣業、士業(税理士・弁護士等)、古物商など、事務所の実態が求められる業種では使えないケースがある
  • 銀行口座の開設がやや難しい — 犯罪収益移転防止法の影響で審査が厳しくなる傾向がある。ただし、事業計画書等を準備すれば開設できる金融機関も多い

バーチャルオフィスの合法性や利用上の注意点については「バーチャルオフィスは違法?合法性を解説」で詳しく取り上げている。また、レンタルオフィスやコワーキングスペースとの違いが気になる方は「レンタルオフィスとの違いを徹底比較」も参考にしてほしい。